海外取引所のBybitでは、2022年10月よりBybit暗号資産ローンという新サービスを開始しました。
特定の資産を担保にすることで他の暗号資産の借り入れができる、便利なサービスとして注目されています。
ただ、暗号資産ローンにあまり馴染みのない人からすると、借りた通貨は何に使えるのか、実際に借り入れるにはどうすればいいのかなど、気になる点もたくさんありますよね。
そこで本記事では、Bybit暗号資産ローンのメリット・デメリットや、実際の借り入れ・返済方法を解説します。
暗号資産ローンの具体的な活用事例も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
- 特定の通貨を担保として預け入れると、他の暗号資産を借りられるサービス
- ローン金額はLTVという割合を基準に決まる
- 借りた通貨はデリバティブ取引や現物取引に使える
- 借り入れた通貨で資産運用の投資額を増やしたり、他の取引所に出金したりも可能
Bybit暗号資産ローンを利用するにはBybitの口座開設が必要です。
まだお持ちでない人は先に登録しておきましょう。
タップできる目次
Bybit暗号資産ローンとは?
まずは、Bybit暗号資産ローンがどういったサービスなのか紹介します。
特定の資産を担保にし、他の暗号資産の借り入れができるサービス
Bybit暗号資産ローンは、保有している資産を担保にして預けておくことで、他の仮想通貨の借り入れができるサービスです。
たとえばBTCを預けると、USDTやUSDCといった通貨を借りられます。
お気に入りの仮想通貨を売却することなく、他の仮想通貨を保有できるサービスということですね。
ローンを利用した場合は、銀行でお金を借りるのと同じように利息がつく仕組みです。
そのため、借りた通貨を返済しながら、それとは別に利息ぶんも支払うことになります。
ローン金額はLTVという割合に基づいて決まる
Bybit暗号資産ローンで借り入れができる金額は、LTV(Loan-to-Value)という割合に基づいて決まります。
LTVとは、担保となる通貨の価値に対する借り入れ可能な資産の価値の比率を表したものです。
初期LTV比率によって、最初に借りられる通貨量が決定され、LTVの比率が高いほどより多くの暗号資産の借り入れができます。
借りた資産は7~180日の貸付期間内で返済する必要がある
Bybit暗号資産ローンで借り入れた資産は、7~180日の貸付期間内で返済しなければなりません。
ローン額を全額返済した時点で、最初に担保として預け入れた仮想通貨が返金されます。
貸付期間内であれば、ローンの返済はいつでも可能です。
繰り上げ返済にも対応しており、返済期日前ならいつでも違約金なしで返済ができます。
基本的には返済期間が長いほど多くの利息を支払うことになるので、どれくらいの期間で借り入れた資産を返済するか、事前にある程度計画しておくといいでしょう。
Bybit暗号資産ローンのメリット
ここからは、Bybit暗号資産ローンのメリットを紹介します。
借りた通貨をさまざまなサービスで利用できる
Bybit暗号資産ローンの1番のメリットは、借りた通貨をさまざまなサービスで利用できる点です。
Bybit内では、借り入れた通貨を以下のようなプロダクトやサービスで使えます。
- 現物取引、デリバティブ取引
- マージン取引
- レバレッジトークン
- 取引ボット
- 資産運用
- NFTマーケットプレイス
その他、借りた暗号資産を他の取引所に出金し、別の暗号資産を購入することも可能です。
比較的LTVが高く、より多くの資産の借り入れが可能
LTVが比較的高く、多くの資産の借り入れがしやすいのもBybit暗号資産ローンのメリットです。
暗号資産のローンサービスはBybitだけでなく、他の取引所でも同じようなサービスを利用できることがあり、取引所によってLTVの比率には差があります。
ここでは例として、世界最大手の取引所であるBinanceの暗号資産ローンのLTVと比較してみましょう。
たとえばBinanceでADAという銘柄を担保にする場合、初期LTVは60%です。
記事執筆時点(2022年10月27日)のレートだと、500ADAを担保にしてUSDTを借り入れる場合、LTV60%だと約121USDTを借りられます。
一方のBybitでは、ADAの初期LTVは75%です。
同じく500ADAを担保にしてUSDTを借り入れると、借りられる金額はおよそ151USDTになります。
同じ金額を預け入れたと仮定してより多くの通貨を借りたい場合は、初期LTVの高いBybitを利用するのが得策といえるでしょう。
借り入れる通貨によっては他取引所のローンより利率が低い
借り入れる通貨によっては他取引所のローンより利率が低いのも、Bybit暗号資産ローンの利点です。
たとえば現時点だと、BinanceでEOSという銘柄を借り入れる場合、1時間あたりの利息は0.000571%に設定されています。
BybitでEOSを借りる場合の利息は、1時間あたり0.000427%。
比較するとBybitのほうが利息が低いので、最終的に支払う利息も少なくて済むということです。
ただし、上記ではEOSを例にしていますが、ローンの利息は通貨ごとに異なるので、銘柄によっては他の取引所よりもBybitの利息のほうが高くなるケースもあります。
借りたい通貨が決まっているなら、各取引所で利息を比較し、できるだけ利息の低いところを利用するのがおすすめです。
Bybit暗号資産ローンのデメリット
続いて、Bybit暗号資産ローンのデメリットを解説します。
他取引所のローンサービスに比べて対応通貨が少ない
Bybit暗号資産ローンは他取引所のローンサービスに比べると、対応通貨が少ないのは欠点でしょう。
現時点だと、Bybitで担保にできる通貨は14種類、借り入れができる通貨は12種類です。
それぞれ10種類以上の通貨に対応しているものの、たとえばBinanceでは65種類の通貨を担保にでき、借り入れに関しては81種類の通貨に対応します。
両者を比べると、Bybitの対応通貨はかなり少ないのがわかりますよね。
利用したい通貨が少ない場合はとくに気にする必要はありませんが、いろいろな銘柄を担保にしたり借りたりしたいなら、やはり対応通貨の種類は多いほうが便利です。
今後Bybit暗号資産ローンで扱う通貨の種類が増える可能性もありますが、現状だと対応銘柄はやや少ないといえるでしょう。
LTVが一定水準より高くなると強制決済される
Bybit暗号資産ローンを利用する際、LTVが一定水準を上回ると強制決済されるのも、デメリットとして挙げられます。
暗号資産ローンでは、担保として預け入れた原資産通貨の価格変動によってLTVが上昇すると、追加担保が必要です。
追加の担保がなくLTVが大幅に上昇したり、支払いが滞ったりすると、強制決済される可能性があります。
たとえばBTCを担保に100万円ぶんの仮想通貨を借り入れているときに、BTCが暴落したとしましょう。
このときにLTVが一定水準を超えて強制決済が施行されると、担保にしていたBTCは自動で売却され、ローンと利息の返済に充てられることになります。
上記ケースだと、BTCを売却して100万円ぶんの通貨を取得したという取引と同じになるので、損失が出る可能性があるということです。
Bybit暗号資産ローンを利用する際は、こういった強制決済のリスクがあることも考慮しておく必要があるでしょう。
ちなみに、各取引所によって強制決済の基準となるLTVの割合は異なります。
強制決済のLTVが違うと、実際に強制決済となる通貨の基準価格にも差が出るので、その点も考慮したうえで借り入れを検討するといいでしょう。
Bybit暗号資産ローンの具体的な活用方法
Bybit暗号資産ローンで借りた通貨はどのような使い道があるのか、具体的な活用事例をいくつか紹介します。
レバレッジ取引の証拠金を増やしてロスカットのリスクを減らす
Bybit暗号資産ローンで借りた通貨でレバレッジ取引の証拠金を増やせば、ロスカットのリスクを減らすことが可能です。
レバレッジ取引をする際は証拠金維持率というものがあり、維持率が一定水準を下回るとユーザーの損失拡大を防ぐために、自動でロスカットが発動されます。
ロスカットが発動しないようにするには、証拠金を追加して証拠金維持率を上げるしかありません。
つまり、Bybit暗号資産ローンで借り入れた通貨を証拠金として追加することで、ロスカットを回避できる確率が高くなるということです。
ただし、借り入れた通貨を証拠金として追加しても、そのあとさらに大きく価格が変動すると、結局ロスカットが実行されることも。
その場合、証拠金を追加しなかった場合よりも損失が大きくなる可能性もあります。
証拠金を追加したからといって必ずしもロスカットを回避できるわけではないので、借り入れた通貨を証拠金として使うかどうかは、慎重に判断するといいでしょう。
Bybitで利用している資産運用商品の投資額を増やす
取引所で利用している資産運用商品の投資額を増やすのも、Bybit暗号資産ローンの活用例の1つです。
Bybitでは、Bybitステーキングやローンチプールなどをはじめとするさまざまな資産運用サービスがあります。
しかし、取引所のウォレット内にある資金をすべて使って既に特定の仮想通貨を購入している場合、こういった資産運用サービスは利用できません。
そんなとき、保有している通貨を担保にしてUSDTやBITといった銘柄を借り入れると、もともと持っていた通貨は売却せずに、資産運用サービスを利用できます。
たとえば、Bybitのローンチプールは特定の銘柄をステーキングすることで、新規プロジェクトのトークンを受け取れるプロダクトです。
暗号資産ローンで借りた通貨をローンチプールに預け入れると、無料で新規トークンを獲得できます。
上記のように借り入れた暗号資産はどの資産運用方法にも活用できるので、投資の幅が広がるはずです。
担保にした通貨を保有したまま気になっている他の仮想通貨を購入する
借り入れた通貨を使い、他の仮想通貨を購入するのもおすすめの活用方法です。
たとえばBybitのウォレット内に20万円ぶんの資金があり、その20万円をすべて使ってBTCを購入したとしましょう。
もしBTCを長期でガチホしようと考えている場合、BTCの一部、もしくは全額を1度売却しない限り、他の銘柄は購入できません。
しかし、Bybit暗号資産ローンを利用すれば保有しているBTCを担保にすることで、BTCを売却することなくUSDTやUSDCといった通貨の借り入れができます。
そして借り入れたUSDTやUSDCを使い、気になっている他の銘柄を購入することも可能です。
とくに「保有している通貨は売りたくないけど、他に価格が上がりそうな銘柄があってそちらも購入してみたい」といったシーンでは、有効な活用方法といえますね。
Bybit暗号資産ローンで資産を借り入れる方法
それでは、実際にBybit暗号資産ローンで資産を借り入れるやり方を紹介します。
暗号資産ローンの画面で担保額と借入額を入力
まずはBybitの画面上部にある「ファイナンス」というメニューにカーソルを合わせて「暗号資産ローン」をクリックします。
そうすると以下の画面が表示されるので「借入」の項目になっていることを確認しましょう。
次に「借入金額」と表示のある項目で、借り入れたい仮想通貨の種類を選びます。
「担保額」の項目では、担保として預け入れる仮想通貨の種類を選んでください。
それぞれ設定したら、借入金額と担保額のどちらかに希望する金額を入力します。
たとえば、担保額に1BTCと入力すると初期LTVに基づいて、以下のように借入金額のほうも自動で入力されるはずです。
同じように、先に借入金額のほうを入力すると、担保額が自動で入力されます。
LTVや利息を確認して借入ボタンをクリック
借入金額と担保額を設定したら、下にある貸付期間を選びましょう。
貸付期間を変更すると、右側に表示されている利息合計や返済合計額も変わるので、確認してみてください。
各種設定や利息に問題がなければ、下にある利用規約にチェックマークを入れて「今すぐ借入」ボタンを押します。
そうすると確認画面が立ち上がるので最後にもう1度情報を確認し、問題なければ「はい」をクリック。
これで暗号資産の借り入れは完了です。
Bybit暗号資産ローンで借りた資産を返済する方法
Bybit暗号資産ローンで借りた資産を返済するときは、ローン画面にある「お客様の借入額」という項目で操作が可能です。
また、後述する「ローン注文」というページでも返済ができます。
ローン画面から返済する場合は先ほどのページに戻り、画面上部の項目を「お客様の借入額」に変更します。
そうすると以下のような画面に移るので、返済したい注文を探してください。
次に、返済したい注文の右側にある「返済」ボタンをクリック。
返済用の画面が立ち上がったら、返済したい通貨の数量を入力します。
未払利息や未払元本などを確認して、問題なければ「はい」を押してください。
画面を更新して、返済額が反映されていれば返済完了です。
Bybit暗号資産ローンの借り入れ・返済履歴の確認方法
Bybit暗号資産ローンで借り入れた資産の状況や返済履歴は、先ほどの返済画面で確認するか、もしくは注文ページからも確認できます。
注文ページから確認する場合、まず画面上部の「注文」メニューで「ローン注文」を選んでください。
そうすると上の画像のように、未返済・返済済み・返済履歴の詳細をそれぞれ表示できます。
Bybit暗号資産ローンに関するよくある質問
最後に、Bybit暗号資産ローンに関するよくある質問を
ローンの利息はどのように計算されますか?
ローンの利息は、実際の借り入れ時間に応じて計算されます。
基本的には1時間単位で計算され、1時間未満は1時間としてカウントされる仕組みです。
1時間あたりの利息は通貨によって異なるため、細かい利率についてはローンの借り入れ画面、もしくは公式サイトのよくある質問(暗号資産のローン)ページで確認してみてください。
Bybit暗号資産ローンを利用するための条件はありますか?
Bybitに登録済みで、なおかつ現物アカウントに担保として利用できる資産があれば誰でも利用できます。
その他に必要な条件はとくにありません。
サブアカウントでも暗号資産ローンを利用できますか?
サブアカウントは暗号資産ローンに対応していません。
Bybit暗号資産ローンを利用できるのは、メインアカウントのみです。
借り入れた通貨とは別の銘柄でローンの返済はできますか?
借り入れた通貨とは別の銘柄でのローン返済はできません。
たとえばUSDTを借りた場合、USDTで返済する必要があります。
ローンの返済期間を過ぎた場合はどうなりますか?
Bybit暗号資産ローンでは返済期間を過ぎた場合でも、一定の延滞許容期間が設けられています。
延滞許容期間内であれば、同時に発生する追加利息を支払うことで、強制決済されずに返済が可能です。
延滞許容期間内を過ぎても返済されない場合、担保資産の強制決済が実行されます。
なお、延滞許容期間中は3倍の利息が発生するので、延滞する前に早めに返済しておくのがおすすめです。
まとめ
Bybit暗号資産ローンは、特定の資産を担保にすることで、他の仮想通貨を借りられるサービスです。
借りた通貨はBybitの現物取引やデリバティブ取引で使ったり、資産運用に回したりなど、さまざまな活用方法があります。
通貨によっては他取引所のローンより低利息で借り入れができるので、ぜひ1度利用してみてはいかがでしょうか。
- 対応通貨はやや少ないものの、LTVは高いので比較的多くの資産の借り入れができる
- 強制決済のリスクはあるが、通貨によっては他の取引所よりもローンの利息が低い
Bybitの口座登録方法がわからない人は以下の記事を参考にしてください。
画像付きでわかりやすく解説しています。