海外取引所のBybit(バイビット)では、最大125倍のレバレッジをかけてトレードができます。
レバレッジトレードをする際は一般的に「追証」というものがあり、この追証をしないまま損失が大きくなると、強制的にロスカットされる仕組みです。
そのため、取引をする際は追証やロスカットのルールを知っておく必要があります。
ただ、Bybitは日本の取引所とはトレードの仕組みやルールが異なる点が多々あり、そもそも追証はあるのか、あるとしたらどんなリスクがあるのかなど、気になっている人も多いはず。
先に結論をいうと、Bybitでは追証がありません。
本記事では、追証のないBybitではどういった基準でロスカットになるのか、強制決済を回避するにはどうすればいいのかなどを解説します。
- Bybitでは追証のないゼロカットシステムを採用しており、借金のリスクがない
- 証拠金維持率が一定ラインまで下がると強制決済され、損失が出る可能性はある
- AMRの設定や手動の証拠金追加をすれば、ロスカットを回避できる可能性が高まる
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Bybitの追証に関して知っておくべき基本ルール
まずは、Bybitの追証に関して知っておくべき基本的なルールや用語の意味を解説します。
証拠金:取引やポジションを維持するのに必要な資金
証拠金は、Bybitでレバレッジ取引やトレードのポジションを維持するのに必要な資金です。
レバレッジ取引をするときは、ウォレット内にある一定額の資金を取引所に預けて、その資金を担保にするような形で、元金の何倍ものトレードができるようになります。
その担保にした資金が、証拠金になるシステムです。
証拠金維持率:取引に必要な証拠金に対する純資産の割合
証拠金維持率は、トレードで必要な証拠金に対する純資産の割合のことをいいます。
基本的にはどの取引所でも、証拠金維持率をもとに後述するロスカットや追証が行われる仕組みです。
Bybitの証拠金維持率は、以下の式によって算出されます。
証拠金維持率=維持証拠金÷証拠金残高
ロスカット:損失を抑えるために強制的に決済される仕組みのこと
ロスカットは、取引所側がユーザーの持っているレバレッジトレードのポジションを強制的に決済する措置のことです。
価格の急騰や暴落で大きな含み損が出たときに、それ以上損失が大きくならないよう、ユーザーの意思に関係なくポジションが精算されます。
たとえ1度価格が下がったあとに上昇したとしても、ロスカットされてしまうとポジションの保有が解消されて損失が確定するため、利益は出ません。
そのため、ロスカットになった場合はその時点で大きめの損失が決定してしまうことになります。
追証:証拠金維持率が一定を下回ると追加で払う証拠金
追証は証拠金維持率が一定水準を下回った場合、追加で支払う証拠金のことです。
通常、取引側が設定している一定ラインの証拠金維持率を下回ると、まずマージンコールというものが発生します。
マージンコールは「このまま含み損が大きくなるとロスカットされますよ。ロスカットを避けたい場合は追加で証拠金を入れてください」という、いわば警告のようなものです。
そしてマージンコールがあったにもかかわらず追証をせず含み損がさらに膨らむと、ロスカットされてしまいます。
原則として、ロスカットはユーザーの証拠金内で損失が収まるようになる仕組みなので、最初に預けていた証拠金を超える損失が出ることはほとんどありません。
ただ、取引所がクラッシュするような急激な値動きがあった場合は、ロスカットが適切なタイミングで行われず、証拠金以上の金額の損失が発生することも。
想定外の損失が出た場合、そのぶんはユーザー側の負担となります。
Bybitは追証のないゼロカットシステムを採用している
一般的な国内取引所でレバレッジトレードをする際は追証のルールが設けられていますが、Bybitでは追証がありません。
基本的には証拠金が一定のラインまで下がると、その時点でロスカットが施行されます。
そのため、ユーザーは度々資金を追加で入れたり、最初に預けた証拠金以上の損失が出たりといったことはほとんどありません。
ただ「追証がないとすぐロスカットになって、最悪の場合は借金を背負うことになるのでは?」という心配が出てきますよね。
そんな場合に備えて設定されているのが、ゼロカットシステムというもの。
ゼロカットシステムとは、万が一証拠金を超えるような損失が出た場合でも、そのぶんは取引所側が保証してくれる仕組みのことです。
つまり、たとえロスカットされて証拠金を大きく超えるような額の損失が発生したとしても、ユーザーは借金を背負うリスクがありません。
このゼロカットシステムを設けているからこそ、Bybitではとくに追証をする必要がなく、あまり大きなプレッシャーを感じずにレバレッジトレードができるというわけですね。
ちなみに、海外ではBybit以外の多くの取引所も、このゼロカットシステムを採用しています。
逆に資金管理にシビアな日本の取引所では、ゼロカットシステムのない追証ありのルールを採用しているケースが多いです。
Bybitの証拠金は2種類ある
ここからは、Bybitでレバレッジ系トレードをする際に把握しておくべき、より詳しいルールや仕組みについて見ていきましょう。
まずBybitでは2種類の証拠金があり、それぞれ仕組みや意味が異なります。
必要証拠金:取引に必要な証拠金
必要証拠金は名前の通り、トレードをする際に必要となる資金のことです。
必要証拠金はレバレッジの倍率によって決まり、倍率が大きくなるほど、必要な証拠金は少なくなります。
たとえば1BTCが200万円のとき、レバレッジを20倍に設定して、1BTCぶんのポジションを保有したいとしましょう。
上記の場合、計算式は以下のようになります。
200万円×1通貨÷20=10万円
このとき、必要な元金である10万円が必要証拠金ということです。
なお、Bybitではトレードの種類によって必要証拠金の計算式が異なるので、詳しいルールを把握しておきたい人は以下もあわせて覚えておくといいでしょう。
- USDT無期限契約:必要証拠金=契約サイズ×参入価格÷レバレッジ倍率
- インバース型契約:必要証拠金=契約数量÷注文価格×レバレッジ倍率
維持証拠金:ポジションの維持に必要な証拠金
維持証拠金は、トレードポジションを維持するために必要な証拠金です。
ウォレットにある資金が維持証拠金を下回ると、ロスカットになります。
記事の最初のほうで解説した、証拠金維持率の基準となる資金ですね。
維持証拠金は「維持証拠金率」というものをもとにして計算されますが、BybitのUSDT無期限契約では、下記の表のように契約金額に応じて、段階的に維持証拠金率が上がっていきます。
段階 | 契約金額 | 維持証拠金率 | 必要証拠金率 | 最大レバレッジ |
---|---|---|---|---|
1 | 1,000,000 | 0.50% | 1.00% | 100 |
2 | 2,000,000 | 1.00% | 1.50% | 66.67 |
3 | 3,000,000 | 1.50% | 2.00% | 50 |
少し複雑ですが、簡単にいうとトレードする金額が大きくなればなるほど、レバレッジ倍率に規制がかかり、リスクが制限される仕組みです。
インバース型契約の維持証拠金率は、以下のように通貨ごとに固定で決められています。
通貨ペア | 維持証拠金率 |
---|---|
BTCUSD | 0.5% |
ETHUSD、EOSUSD、XRPUSDなど | 1% |
Bybitのロスカットの計算方法は取引の種類によって異なる
Bybitのロスカットの計算方法はトレードの種類によって異なるので、こちらもそれぞれ見ておきましょう。
USDT無期限契約のロスカットは破産価格をもとに計算
BybitのUSDT無期限契約のロスカットは、破産価格という独自のルールをもとに計算されます。
破産価格の計算式は、以下の通りです。
- ロングでエントリーした場合:参入価格×(1-必要証拠金率)=破産価格
- ショートでエントリーした場合:参入価格×(1+必要証拠金率)=破産価格
Bybitの無期限契約でトレードするときは、上記の計算式を意識しておくといいでしょう。
インバース型は4つの計算方法がある
インバース型の場合は、ポジションに加えて分離マージンとクロスマージンのどちらかによって、4つの計算方法があります。
分離マージンとは、ウォレットにある一部の資産を証拠金に使ってトレードするやり方です。
クロスマージンは、ウォレット内にあるすべての資金を証拠金に使う取引方法のことをいいます。
それぞれの計算方法は以下の通りです。
ポジション | マージン | 計算式 |
---|---|---|
ロング | 分離 | 平均参入価格×(レバレッジ+1)÷レバレッジ倍率 |
ロング | クロス | (平均参入価格÷契約数)+(資金残高-注文証拠金)÷1.00075×契約数 |
ショート | 分離 | 参入価格×(レバレッジ-1)÷レバレッジ倍率 |
ショート | クロス | (平均参入価格÷契約数)+(資金残高-注文証拠金)÷0.99925×契約数 |
Bybitのゼロカットシステムの仕組み
次にBybitのゼロカットシステムについて、詳しい仕組みを紹介します。
証拠金以上の損失が出たときに適用される保険基金
Bybitのゼロカットシステムは、主に2つの仕組みによって成り立っています。
1つめは、保険基金という仕組みです。
こちらはユーザーの損失が大きくなり、清算ができなくなったときに、資金を保証するために利用される積立金のことをいいます。
レバレッジトレードで一定ラインを超えるような損失が出たときは通常、この保険基金によってユーザーの損失が補填されます。
保険基金が不足したときに適用される自動デレバレッジ
2つの仕組みは、自動デレバレッジ(ADL)というもの。
こちらは保険基金が不足したときに、損失が出ているポジションとは反対のポジションを持っているユーザーを取引所が任意で選んで売買を行い、自動的にレバレッジトレードを解消するシステムです。
保険基金が十分にない場合は救済処置としてデレバレッジを行い、損失の保証をします。
たとえば、売りでエントリーした人が保険基金で賄えない損失を出した場合、買いでエントリーしている人がそれを補填するという仕組みです。
損失を補填するトレーダーにはリベート(トレードのキャッシュバックのようなもの)が支払われ、損失を補填してもらった側のトレーダーにはテイカー手数料が課されます。
なお、デレバレッジの際には、Bybitを使っているユーザーのなかでもADLランキングが高い順番で対象となる人が選ばれるとのこと。
そのため、ADLランキングの上位に位置しているユーザーは他の人の保証の穴埋めをするために、自分がデレバレッジの対象になる可能性が高いです。
ADLランキングは、実際にトレードをする際の取引画面で確認できます。
Bybitでロスカットを回避する方法
Bybitは追証がないため、そのまま利用しているとロスカットにあう可能性が高くなりますが、それを回避するための方法が2つあります。
自動証拠金補充機能(AMR)を使う
1つめは、自動証拠金補充機能を使う方法です。
別名「AMR」とも呼ばれるこの機能を設定しておくと、証拠金がロスカットラインに近づくたびに、ウォレット内にある残高から自動で資金が追加されます。
つまり、この機能をうまく活用すれば通貨の価格が予想外の値動きをしても、最初に預けた証拠金と同じ金額を維持できるため、ロスカットを避けられるということ。
ちなみに、AMRが設定できるのは分離モードのみです。
追加されるのは必要証拠金と同額の資金で、変更はできません。
AMRは、トレード画面下部の「ポジション」の項目にある「自動的に証拠金追加」から設定できます。
手動で証拠金を追加する
2つめは、手動で証拠金を追加する方法です。
保有ポジションの証拠金を任意で追加することにより、ロスカットのラインを下げられます。
いわば手動の追証のようなもので、AMRを使いたくない場合や、自分で細かく追加資金を調節したい場合にはおすすめのやり方です。
証拠金を追加したいときは、トレード画面の下部にある「ポジション証拠金」の鉛筆マークをクリックすることで設定できます。
Bybitでロスカットライン(強制決済価格)を知る方法
Bybitで実際にトレードをする際、ロスカットラインを知ったうえで取引したいですよね。
実はBybitでは専用の損益計算ツールが用意されており、自分で細かい強制決済価格の計算をする必要がありません。
ここでは、ツールを使ってロスカットラインを知る方法を紹介します。
分離マージンでロスカットラインを確認するやり方
分離マージンでロスカットラインを確認したいときは、まずトレード画面を開いて、右のほうにある電卓のようなマークをクリックします。
以下のような画面が表示されたら、項目が「強制決済価格」と「分離マージン」になるよう設定しましょう。
続いて、レバレッジ倍率・契約数・平均参入価格をそれぞれ入力してみてください。
そうすると次にように、入力項目に応じたロスカットラインが右側に表示されます。
クロスマージンでロスカットラインを確認するやり方
クロスマージンでロスカットラインを確認するときも、分離マージンのときとやり方はほぼ同じです。
電卓マークをクリックして計算ツールを開いたら、今度は項目を「クロス」に設定しましょう。
次に、レバレッジ倍率・利用可能残高・契約数・平均参入価格を入力します。
そうすると、右側にロスカットラインが表示されるはずです。
各項目を入力するだけで簡単にロスカット水準が確認できるので、Bybitでレバレッジトレードをするときはぜひこういった機能も活用してみてください。
まとめ
Bybitは日本の取引所とは違って、追証のない取引所です。
また、レバレッジ取引をする際はゼロカットシステムが採用されているため、たとえ強制決済されて口座にあるお金以上の損失が出ても、借金を背負うリスクがありません。
もちろんロスカットされると資産が減る可能性はありますが、AMR機能や手動での証拠金追加などをうまく利用すれば、ロスカットを回避することも可能です。
損益計算ツールを使えば簡単にロスカットラインの確認もできるので、こういった機能を活用しつつ、無理のないトレードをしてくださいね。
- AMRをオンにしておけば、自動で証拠金が追加されてロスカットにあう可能性を下げられる
- AMRを使いこなせないときは、手動で資金を追加して証拠金維持率を調整するのもあり
Bybitの登録でわからないことがあれば、以下の記事を参考にしてください。
画像付きでわかりやすく解説しています。