Bybit Shark Finは、海外取引所のBybit(バイビット)で2022年8月より新しく始まった資産運用サービスです。
預け入れる通貨の価格をうまく予測できると、高利回りが狙える投資方法として注目されています。
しかし、これまでにはなかった新しいサービスということで、仕組みや始め方がいまいちわからず、利用するかどうか迷っている人も多いはず。
そこで本記事では、Bybit Shark Finの仕組みやメリット・デメリット、やり方などを紹介します。
- Bybit Shark Finは対象銘柄を預け入れると利回りがもらえる、元本保証型の資産運用方法
- 預け入れた通貨の決済時価格によって、受け取れる利回りが変動する
- 現状利用できるのは、ブルとベアの2種類
- ブルは価格範囲の上限に近いほど高い利回りになり、ベアは価格範囲の下限に近いほど利回りが高くなる
Bybit Shark Finを利用するにはBybitの口座開設が必要です。
まだお持ちでない人は、先に登録を済ませておきましょう。
タップできる目次
Bybit Shark Finとは?
まずは、Bybit Shark Finがどういったプロダクトなのか解説します。
元本保証型の資産運用サービス
Shark Finは、特定の仮想通貨を預け入れると利回りを受け取れる、元本保証型の資産運用サービスです。
他の資産運用方法と異なるのは、原資産となる仮想通貨の決済時価格によって、年利(APY)が変動する点。
預け入れるのはUSDTやUSDCなど、米ドルと価格が連動するようにつくられている、ステーブルコインというものです。
ステーキング期間が終わると、預け入れた通貨の元本は減らないまま、利回りぶんがプラスされた状態で手元に戻ってきます。
ステーキング期間は5日や7日など、各プロダクトによってまちまちです。
利用できるのはブルとベアの2種類
現状Bybit Shark Finには、ブルとベアという2種類の参加方法があります。
ブルは強気相場のことを指し、ベアは弱気相場です。
先ほどBybit Shark Finは預け入れた通貨の決済時価格でAPYが変動するとお伝えしましたが、ブルとベアはそれぞれ通貨の値動きによって、3つのパターンで報酬を受け取ることになります。
まずBybit Shark Finでは通貨の預け入れ時点で一定の価格範囲が決められており、決済時の価格がその価格範囲よりも下か上か、それとも範囲内に収まっているかで、報酬を受け取る際の年利が変わる仕組みです。
ブルのプロダクトで通貨を預け入れた場合、以下のようなパターンになります。
決済時の価格 | 利回り |
---|---|
価格範囲の下限を下回った場合 | 最低限保証されている利回り(1~2%前後) |
価格範囲内に収まった場合 | 最大利回り(1~20%前後) |
価格範囲の上限を上回った場合 | やや高い利回り(2~8%前後) |
ベアのプロダクトに預け入れた場合のパターンはこちらです。
決済時の価格 | 利回り |
---|---|
価格範囲の下限を下回った場合 | やや高い利回り(2~8%前後) |
価格範囲内に収まった場合 | 最大利回り(1~20%前後) |
価格範囲の上限を上回った場合 | 最低限保証されている利回り(1~2%前後) |
簡単にいうと、ブルは価格範囲の上限に近いほど高い利回りになり、反対にベアだと価格範囲の下限に近いほど利回りが高くなる仕組みです。
価格が上がりそうだと思ったらブル、下がりそうだと思ったときはベアで預け入れると、より高い利回りが得られるということですね。
Bybit Shark Finの利回り計算例
文章の説明だけだとわかりづらいので、Bybit Shark Finの利回り計算例を紹介します。
今回は価格範囲が44,000~48,000ドルに設定されているBTCのプロダクトに、1,000USDTを預け入れた場合の例を見てみましょう。
決済時価格や利回りは、以下の通りに仮定しています。
- 決済時価格:47,000ドル
- 収益率:2~18%
- 追加収益率:8%
ブルShark Finの場合
まずブルShark Finで預け入れた場合、利回りは以下のパターンになります。
実際に受け取る収益は、以下の計算式で算出されます。
獲得できる収益=元本×収益率の種類×利用日数/365
決済時価格が価格範囲の下限を下回った場合、計算式は以下の通りです。
受け取れる収益=1,000×2%×7/365=0.384USDT
決済時価格が価格範囲の上限より高かった場合の計算式はこちら。
受け取れる収益=1,000×8%×7/365=1.536USDT
決済時価格が価格範囲内に収まった場合、範囲内のどの価格だったかによって年利が変わります。
ブルの場合はまず「最低保証収益率+(決済価格-下限価格帯)/(上限価格帯-下限価格帯)×(最大収益率-最低保証収益率)」の式を使って年利を算出しましょう。
決済時価格が47,000ドルだった場合、計算式は以下の通りです。
年利=2%+(47,000-44,000)/(48,000-44,000)×(18%-2%)=14%
次に上記で計算した年利(14%)をもとに、実際の収益額を計算します。
受け取れる収益=1,000×14%×7/365=2.685USDT
少し複雑ですが、上記のブルShark Finの例では決済時価格が価格範囲の上限に近いため、より高い年利を受け取ることが可能です。
ベアShark Finの場合
ベアShark Finで預け入れた場合、以下のようなパターンになります。
決済時価格が価格範囲の下限を下回った場合の計算式はこちらです。
受け取れる収益=1,000×8%×7/365=1.536USDT
決済時価格が価格範囲の上限より高かった場合は、以下の計算式になります。
受け取れる収益=1,000×2%×7/365=0.384USDT
決済時価格が価格範囲内に収まった場合、ベアではまず「最低保証収益率+(上限価格帯-決済価格)/(上限価格帯-下限価格帯)×(最大収益率-最低保証収益率)」の計算式で年利を算出します。
決済時価格が47,000ドルだった場合、計算式は以下の通りです。
年利=2%+(48,000-47,000)/(48,000-44,000)×(18%-2%)=6%
上記で計算した年利(6%)をもとに、収益額を計算しましょう。
受け取れる収益=1,000×6%×7/365=1.15USDT
ベアShark Finでは価格範囲の下限に近いほど年利が高くなるので、今回のパターンだと価格範囲内に収まったとしても、収益がやや低くなっているのがわかります。
Bybit Shark Finのメリット
ここからは、Bybit Shark Finのメリットを紹介します。
うまく価格予測ができると高い利回りを獲得できる
Bybit Shark Finは、決済時価格が範囲価格内に収まると、最大20%程度の利益を得られる資産運用サービスです。
そのため、うまく価格予測ができれば、高い利回りを獲得できます。
従来のステーキングは年利2~5%程度のものが多く、それほど高い年利は期待できません。
その点、Bybit Shark Finは短期間ではあるものの、年利10%を超える利益率を得られるのはメリットといえるでしょう。
預け入れるのはステーブルコインのためリスクが低い
預け入れるのがステーブルコインのため、投資におけるリスクが比較的低いのも利点です。
ステーブルコインとは、米ドルと価格が連動するよう設計されている仮想通貨のことをいいます。
つまり、他の仮想通貨のように大きな値動きはなく、常に1ドルと同じ価格帯で保たれるということです。
一般的なステーキングでは、通貨を預けている間にその銘柄の価格が大きく下がると、資産価値も減ってしまいます。
しかし、ステーブルコインならステーキング期間中に通貨の価格が暴落するリスクはほとんどないので、長期間でも預けておきやすいです。
とくに仮想通貨の初心者にとって、Bybit Shark Finのように低リスクで資産運用ができるサービスは魅力的といえます。
ステーキング期間が比較的短い
もう1つのメリットは、ステーキング期間が比較的短いこと。
仮想通貨のステーキングといえば、一般的には数週間〜数か月程度は通貨を預け入れておく必要があります。
すぐにステーキングを解除できるなら問題ありませんが、大抵は決められたステーキング期間が終わるまで、1度預けた通貨の払い戻しはできません。
預け入れる期間、つまりロックされる期間が長くなればなるほど、通貨の価格が暴落したときのリスクは大きくなります。
しかし、Bybit Shark Finではステーキング期間が3~7日程度に設定されていることが多く、極端に長期で預け入れるわけではありません。
長い間通貨をステーキングしておくのが不安な人でも、利用しやすいサービスです。
Bybit Shark Finのデメリット
Bybit Shark Finはメリットだけでなく、覚えておくべきデメリットや注意点もあります。
スリッページによっては利回りに影響が出る
スリッページによっては利回りに影響が出るのは、Bybit Shark Finのデメリットです。
スリッページとは、注文を出した価格とは異なる価格で約定されること。
Bybit Shark Finの場合、スリッページが起きると実際に獲得できる利回りが少なくなる可能性があります。
とくに、預け入れていた通貨の価格が暴落したときはスリッページが起きやすく、予想以上に収益が減ってしまうことも。
元本は保証されているので保有通貨の枚数が減るわけではありませんが、相場の状況によってはこういったリスクがあることも覚えておく必要があります。
開催・受付期間が決まっている
開催時期や受付期間が決まっているのもデメリットです。
Bybit Shark Finは不定期開催のため、いつ新規のプロダクトが始まるのかはっきりとした基準がありません。
そのため、参加したい場合は新しいプロダクトが開催されていないか、定期的にチェックする必要があります。
また、Bybit Shark Finは各プロダクトで参加受付期間が決められており、基本的には受付開始後の24時間以内に登録が必要です。
登録期間を過ぎると、通貨の預け入れはできません。
気になるプロダクトがある場合は、早めに登録を済ませておくのがおすすめです。
価格の予想が難しい
3つめのデメリットは、価格の予想が難しいこと。
Bybit Shark Finは価格の予想が的中すれば高利回りを得られる資産運用方法ですが、仮想通貨は基本的にどの通貨も、短期間で価格が変動します。
また、よほど仮想通貨のチャート分析や価格動向のパターンに慣れている人じゃない限り、数日後の価格を的中させるのは容易ではありません。
とくに初心者の場合、預け入れる通貨の価格を予想して毎回当てるのは難しいでしょう。
Bybit Shark Finのやり方
それでは、実際にBybit Shark Finで通貨を預け入れる方法を紹介します。
預け入れる仮想通貨を用意する
まずはBybit Shark Finで預け入れる仮想通貨の準備をしましょう。
対象となっている通貨は、Bybit Shark Finの画面で確認できます。
現状だとUSDT、もしくはUSDCのどちらかを預けるのが基本ですが、念のため確認しておくのがおすすめです。
USDTやUSDCを持っていない場合は、ウォレット内に保有している仮想通貨を交換、もしくは国内取引所から仮想通貨を入金して、投資用の資金を準備しておきましょう。
国内取引所からBybitに仮想通貨を入金する方法は以下の記事で詳しく解説しているので、こちらも参考にしてみてください。
通貨を現物アカウントから資産運用アカウントに移動
USDTやUSDCの準備ができたら、次はその資金を現物アカウントから資産運用アカウントに移動させます。
今回は例として、USDTを移動させる手順を見てみましょう。
まずBybitの画面右側にある「資産」メニューから「現物」を選び、以下のようにUSDTの項目を表示させます。
検索ウィンドウで「USDT」と入力すると、簡単に該当通貨を表示できますよ。
表示できたら右側にある「振替」のボタンをクリックしてください。
そうすると以下の画面が開くので、振替元を「現物」にして、振替先を「資産運用」に設定します。
次に振り替えたいUSDTの数量を入力して、下にある「確定」ボタンをクリック。
これで現物アカウントから資産運用アカウントへの移動は完了です。
希望のプロダクトで通貨を預け入れる
資産の移動ができたら、実際にBybit Shark Finの画面でUSDTをステーキングしましょう。
ページ上部にある「資産運用」メニューから「Shark Fin」選びます。
以下の画面になったらブルとベアそれぞれのプロダクトが表示されているので、どちらを利用するか決めて、希望するほうの「利用する」をクリック。
次の画面が開いたら、再度「利用する」ボタンを押します。
以下の画面が立ち上がったら、APYや価格範囲を確認したうえで、預け入れるUSDTの数量を入力してください。
数量の入力後、下にある「確認」を押して、再度利回りや預け入れるUSDTの数量に問題がないか確認します。
問題なければ最後に確定ボタンを押して、USDTの預け入れは完了です。
あとは決済時刻になると自動的に決済され、資産運用アカウントに元本と利回りぶんのUSDTが振り込まれます。
Bybit Shark Finの収益の確認方法
Bybit Shark Finで獲得した収益やステーキング状況を確認したいときは、まず画面右上の「資産」メニューから「資産運用」を選び、以下の画面を表示します。
次にページを少し下にスクロールして「投資概要」という項目の右側にあるメニューを「Shark Fin」に設定してください。
そうすると上の画像のように、Bybit Shark Finで獲得した投資総額や合計利回りなどを確認できます。
有効注文では現在通貨を預け入れているプロダクトの運営状況、すべての注文では過去にShark Finで投資したプロダクトの投資情報の一覧を確認可能です。
Bybit Shark Finに関するよくある質問
最後に、Bybit Shark Finに関するよくある質問をQ&A形式で紹介します。
Bybit Shark Finで1度預けた通貨の払い戻しはできますか?
Bybit Shark Finでは、1度預けた通貨の払い戻しや解除はできません。
決済が終わるまで預け入れた通貨はロックされるので、その点も考慮したうえで利用を検討しましょう。
最小ステーキング額はいくらですか?
現状だとBybit Shark Finの最小ステーキング額は、100USDTまたは100USDCです。
個人の最大ステーキング額は決められていませんが、各プロダクトごとに全体の最大購入上限があり、上限に達すると預け入れはできなくなります。
なお、今後最小ステーキング額が変更になる可能性もあるので、設定が変わっていないかどうかはBybitの公式サイトを確認してみてください。
リスクゼロで資産運用できますか?
Bybit Shark Finで預け入れるのはステーブルコインなので極めてリスクは低いものの、デメリットの項目でも解説したように、スリッページで利回りに影響が出る可能性はあります。
また、ステーブルコインも仮想通貨の一種なので、通貨のプロジェクト自体に問題が起きれば、米ドルとの価格連動を保てなくなる可能性もゼロではありません。
そうなるとステーブルコイン自体の価格が下がり、資産価値が減ってしまうことも考えられます。
Bybit Shark Finを利用する際、上記のようなリスクがあることも念頭に置いておきましょう。
Bybit Shark Finは誰でも利用できますか?
Bybit Shark Finは最小ステーキング額以上の対象銘柄を保有していれば、誰でも利用できます。
ただし、Bybitでは本人確認(KYC)レベル1を完了している人しか、資産運用サービスを利用できません。
本人確認がまだ終わっていない人は、口座開設とあわせて早めに済ませておくといいですよ。
まとめ
Bybit Shark Finは、預け入れた通貨の決済時価格によって年利が変動する、元本保証型の資産運用サービスです。
ブルShark Finだと価格範囲の上限に近いほど高い利回りになり、ベアShark Finの場合は価格範囲の下限に近いほど利回りが高くなります。
預け入れるのはステーブルコインで一般的なステーキングよりもリスクは低いので、仮想通貨の初心者もぜひBybit Shark Finで資産運用をしてみてはいかがでしょうか。
- まずはBybitで預け入れる通貨を用意する
- 用意した通貨を現物アカウントから資産運用アカウントに移動
- 希望のプロダクトで通貨を預け入れる
- 決済時刻になると自動的に決済され、元本と利回りぶんの通貨が戻ってくる
Bybitの登録の仕方がわからない場合、以下の記事を参考にしてください。
どこよりもわかりやすく解説しています。